兄弟育児をされている方は、頻回な兄弟げんかにうんざりされている方も少なくないのではないでしょうか。
なにかにつけて、兄弟間で比べたがり、ちょっとしたことで一触即発。
どっちが悪いだのギャーギャー騒いでは、親に告げ口。
下の子が大泣き。
上の子はふてくされてる。
そんなご家庭は、きっと我が家だけではないはず。
子どもたちの長期休みなど、「いいかげんにしなさい!」と一日中怒りっぱなしのご家庭も多いのではないでしょうか。
今回は、3姉妹育児の経験と、アドラー式コミュニケーション術を踏まえて、
についてご紹介したいと思います。
目次
兄弟げんかにうんざりする時に親はどう対応するか
兄弟げんかが頻回でうんざりするという時に、親はどう対応するのがいいのか、2段階に分けてご紹介します。
ぜひ試してみて下さい。
対応①兄弟げんかの【目的】は親の気を引くこと→注目しない
兄弟げんかの【原因】はいろいろあると思いますが、実は兄弟げんかの【目的】はただ一つ。
親の注目をひくこと
です。
派手な兄弟げんかほど、実は子供たちは無意識に親の注目を引こうとしているのです。
「ママ、ぼくの(わたしの)方が正しいでしょ!?」
「ママはぼくの(わたしの)味方だよね!?」
という、親の愛情の奪い合い。
ですから、兄弟げんかが始まった時、最初の対応の基本は【兄弟げんかに注目しない】ことです。
兄弟げんかに思い切り注目して「もうやめなさい!」と怒っても、ますますヒートアップしたり、きょうだいで親に自分の正しさをアピールしに来たり。
一見落ち着いたように見えても、子供たちが不満そうに口を尖らせている、ズルズルと責任を押し付けあっている、なんてパターンではないですか?
子どもたちの中で「怒鳴ったり叩いたりすればお母さんが見てくれる・来てくれる」という図式ができてしまい、かえって増えてしまうんだそうです。
それよりも、【兄弟げんかに注目しない】ことで、子供が「親の注目が得られない」と気づけば、兄弟げんかはこちらが介入しなくても自然と落ち着いていくことが多いです。
注目してほしい相手がいなくなったので、ケンカをする必要がなくなるんですね。
親も、兄弟げんかに注目しないことでイライラせず、やり過ごしやすくなるのではないでしょうか。
と気付かぬフリで、一度やり過ごしてみてください。
-
別室やトイレにそっと避難する
-
寝たふり・気づかないふりで平静を装う
-
素知らぬ顔で気を逸らせる(子供たちの好きな音楽をかける、おやつを出す、くすぐって笑わせるなど)
- 度が過ぎるなという場面でも、静かに「叩くのはやめてね」とか「ケンカなら外でやってね」と言うに留めて、あとはあっさり退室する
対応②落ち着いてきたら話を聞いて通訳してやる
兄弟げんかに注目しないことで、ヒートアップしていたけんかが落ち着いてきたら、次は両者の話を聞いてあげてください。
どんな気持ち?
子供の気持ちを聞いてやることは、兄弟げんかがなかなか落ち着かないときにもお勧めです。
「どんな気持ち?」と聞かれた子供は自分の気持ちを考えようとするので、ヒートアップしていた思考が一旦切り替わってクールダウンします。
それに、何より親が自分のことを気にかけてくれるのが嬉しいようです。
兄弟げんかの理由を聞いて、受け止める
兄弟げんか中の気持ちがわかったら、一緒にその気持ちになった理由や、本当はどうしたかったのかも聞き出して、受け止めてやります。
「受け止める」と言うとちょっと難しいかもしれませんが、要は
「そうか、あなたは◯◯で嫌な気持ちだったのね」
「あなたは本当は~~して一緒に楽しく遊びたかっただけなのね」
と、ただ子供の気持ちを文章にしてやるだけです。
「それはひどいね」など、判断(ジャッジ)はしないのがポイント。
それぞれの気持ちを相手に通訳、どうするか一緒に考える
そうやって聞き出した子供たちの気持ちは、親が相手に代弁してやります。
兄弟げんかのきっかけって、見ているとだいたいが
「こうすればもっと一緒に楽しく遊べるのに、やってくれない」
「一緒に楽しく遊びたいのに、おもしろくなさそうなことを言ってくる」
など、
ただ 「ただ一緒に楽しく遊びたかった」「わかってほしかった」ということが多いんですよね。
だから、こちらの対応としては、「お互い、一緒に楽しく遊びたいだけなんだね~」と言って、想いを伝え合うお手伝いをすること。
「叩かれるのは嫌だったね。でも、◯◯ちゃんは、こうしたら△△ちゃんともっと楽しく遊べるよって、言ってるみたいだよ」
と通訳して、
「△△ちゃんと一緒に楽しく遊びたかったんだよね。やってくれないんじゃなくて、△△ちゃんにうまく伝わってないんじゃない?叩いても伝わらないみたいだけど、どうしたら伝わるかなあ?」
と聞いて、説明をお手伝いします。
そうすると、ふたりとも落ち着いて、納得した顔してまた何もなかったかのように二人で仲良く遊び出すんです。
かわいいものです(笑)。
お互いの気持ちがわかって&わかってもらえれば、あとは
「じゃあ、一緒に楽しく遊ぶにはどうしたらいいかな?」
「じゃあ、どうしてあげたらいいかな?」
と問いかけるだけで、子供たちは自分たちで解決策を導き出してくれます。
対応③「兄弟で仲良くしてると嬉しい・幸せ」だとアピール
この流れで最後にぜひやってもらいたいのは、「兄弟で仲良くしてると私は嬉しい・幸せ」だと思い切りアピールすることです。
「見て、2人ともすっごく嬉しそう!ニコニコになった!」
と相手の表情が変わったことも、ぜひ子供たちに注目させてあげてください。
アドラー心理学では、【注目したことは増える】という法則があります。
子どもたちの中に「仲良く遊んでいると、お母さんが喜んでくれる」という図式ができるので、実際、仲良く遊ぶ場面が増えていきます。
下の子がまだ小さいときは…
上でご紹介した方法は、下の子が2歳以下など、まだ小さいと難しいところかもしれませんね。
この頃の兄弟げんかの原因は、上の子の「邪魔されたくない!」「大事なものを取られた!壊された!」といったことがメインではないでしょうか。
それまでは、 以下のような対応もおすすめです。
上の子を邪魔しないように下の子の気を逸らせる
- 親が下の子をほかの遊びに誘う
- 一時的に別の部屋や外に連れ出す
- 同じような別のものを渡してやる
【例】塗り絵なら別の塗り絵や、同じ塗り絵のコピーを渡す など - 下の子が邪魔しないスペースを確保する
【例】下の子が届かない高さのテーブルを用意する(椅子は使わない)
など、下の子が上の子を邪魔しないような工夫をするのがおすすめです。
上の子をケアする
下の子が小さい時は、ママご自身も下の子がいちいち邪魔をしてきて、家事やいろんなことにいちいち集中できない状況に、ストレスMAXではないでしょうか?
上の子も同じかもしれません。
下の子が小さくて兄弟げんかが頻発するような時期は、上の子のケアも重要です。
- 「下の子に邪魔されて悲しいよね、ママもちゃんとわかってるよ」と伝えて、陰でこっそりおやつをあげる。
- 「いつも困るよねぇ。何かいい方法ないかしらねぇ」と上の子と同じ目線で愚痴り合う(笑)
- たまには上の子とだけでデートをして思い切り甘えさせる (下の子がお昼寝している時間に、上の子にしっかり付き合うでもOK)
うんざりする兄弟げんかに対応する時のポイント
うんざりする兄弟げんかに対応する時のポイントについて、いくつかご紹介します。
兄弟げんかは止めなければと思わなくていい
兄弟げんかにうんざりイライラする時、ご自身の中で「兄弟げんかはよくないこと」「兄弟げんかは止めなければ」という考えがないでしょうか。
でも、子供は子供同士のやりとりの中でも社会性を育てて行きます。
どう行動したら相手がどう行動したりどんな気持ちになるか、やりとりのバリエーションや加減なんかも、時にはケンカしながら試行錯誤して学んでいるんですね。
思い切りケンカさせてあげましょう!
普段から、兄弟で想い合っている場面に注目する
兄弟げんかさせていいとは言っても、ギャーギャー騒がれるとやっぱり親もキツイですよね。
兄弟げんかの回数を減らすには、普段から、兄弟で想い合っている場面に注目するのがおすすめです。
先程出てきた【注目したことが増える】というのは、我が家で本当に効果を実感しています。
「◯◯ちゃん、△△ちゃんのこと、大好きなんだね」
「△△ちゃん、◯◯ちゃんと遊んでる時すごく楽しそうだね」
など、大げさなくらい何度も注目しているうちに、兄弟げんかが目に見えて減って、2人で楽しそうに遊んでいる様子が増えたことがありました。
思い返してみれば、1日の中で兄弟げんかしていない時間のほうが多いことないですか?
【きょうだい仲のいい場面に注目】していると、親の方もその仲のいい場面に目を向けられるようになりますよ。
私も兄弟げんかにうんざりしていましたが…
私も、以前は ずっと「ケンカはよくないこと」「しないほうがいいこと」なんだと思って、ケンカが始まるたびに嫌な気持ちになったり、やめさせようとしたりしていました。
実際、我が家では、特に今5歳・8歳の長女と次女が、昔からよく兄弟げんかをします。
お友達には怒鳴ったり叩いたりすることはほとんどなくて、むしろ気を遣ってあげられる子たちです(親バカ失礼)が、兄弟では強い口調で罵り合うことも叩き合うこともあります。
でも、見ていると、兄弟は唯一気を遣わないでいられる相手なんですね。
言いたいことをストレートに言える。
やめてほしいとき、やってほしいときも我慢しなくていい。
どうしてもわかってほしいとき、手を出してしまうことがあっても、この相手だけはわたしのことを嫌いにならないでいてくれる。
また一緒に遊べる。
育ててもらえなくなって困ることもない(笑)。
こんな風に、兄弟で遊んでいるとき、子供たちはすごくリラックスして楽しそうなんですよね。
土日なんて、ほとんど一日中一緒に遊んでいることも少なくありません。
兄弟げんかもしながら思う存分、人付き合いの方法を試行錯誤できる相手なのではないかと思うのです。
我が家の3姉妹は、今でも兄弟げんかをしない日はほとんどありません。
でも、けんかの原因はお互いに「一緒に楽しく遊びたいだけ」ということはわかっているみたい。
あまり長引いたり激しくなることなく、こちらが介入しなくてもお互いに妥協点を探り合って、またすぐ楽しそうに遊んでいることが多くなりました。
子供たちの変化もあって、わたしが兄弟げんかが気になってイライラすることは減りました。
(全くないわけではありません)
たまに、「それって、こう言えばいいんじゃない?」と言葉の使い方をご提案するくらいでしょうか。
言い方・伝え方で相手の印象が随分違うことに、親子で気付かされる毎日です^^;
兄弟げんかにうんざりする時の対応策|まとめ
- 兄弟げんかの【目的】は親の気を引くことなので、兄弟げんかが起きても注目しない
- 兄弟げんかが落ち着いてきたら話を聞いて通訳してやれば、自分たちで解決できる
- 兄弟げんかはコミュニケーションの勉強。止めなければと思わなくていい
- 普段から、兄弟で想い合っている場面に注目すると、仲のいい場面が増える(増えて見える)
もしかしたら、兄弟げんかを「問題」にしているのは私たちだけなのかもしれません。
大声を出したり暴れまわったりして、物が壊れたり、家庭内やご近所へのご迷惑になるようだったら、「楽しそうだねー。でも物が壊れそうだから外でやってね」「ご近所に迷惑だから静かにやってね」「そんなことしなくてもちゃんと伝わるよ」なんて冷静に伝えることはします。
でも、兄弟げんかすること自体は、思い返せば子どもたち、人に嫌な思いをさせようとしてやっているわけではないような気がします。
親がややこしくしているだけなのかも(笑)。
「兄弟げんか」=「コミュニケーションの勉強中」「ストレス発散中」「兄弟愛の確認中」
なんて言い換えて、見守っていればいいのかもしれませんね。